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Channel: 復活・私の裏の姿☆
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学園モノ番外編(?)。

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久々に学園モノの番外編っぽいもの書きました。
一応ナナアルです。
てか、ナナアルがメインですから(笑)





「なんやの、この暑さ。死ぬ!てか死にたい!」
「勝手に死ねばいいだろ」
暑さに一人でじたばた暴れるナナシに冷ややかに言い放つ。
「そんな事言わんといてぇな、アルちゃん!
 自分、アルちゃんとこれからもずっと生きていくんやから」
死ぬと言ったり生きると言ったり、訳が分からない。
「どうでもいいが…」
今は学校の帰り道。
先程まで動かしていた足を止め、下を向く。
「どないしたん、アルちゃ…」
「少しは静かにしろ!余計に暑いだろ!!」
言葉を遮って彼を怒鳴り飛ばす。


アルヴィスだって暑いのだ。
それを知ってか知らずか、下校中ひっきりなしにしゃべっていたナナシ。
我慢の限界が来た。
「ごめんな。けど、少しでも気が紛れへんかなぁおもて」
「紛れるようなものじゃない…」
言い返そうとして、ふらついた。
「アルちゃん!」
慌てて支える。
抱き止めるような格好だ。
「さっきから無理しとったんか!?ゆうてくれれば、おんぶしたんよ?」
「恥ずかしい…」
「こーゆう時は、意地張っとったらあかんの!」
言って、ナナシはアルヴィスの前で屈みこんで背中を向ける。
「…いい、一人で歩けるから」
「無理してんと!顔色も悪いで」
暑さのせいか、顔が火照って赤かった。
それを顔色が悪いと言うのは少し違う気もするが、今はそんな事を考える余裕もない。
「家まで、少しの辛抱や、な?」
言い出したら絶対に聞かない相手。
仕方なく、彼の背におぶさる。


「…ナナシは、平気なのか?」
ややあって、気になって尋ねる。
「なんの事?」
「お前だって暑いのに、俺なんか背負って…」
「自分は平気やから、気にせんといて」
いつもと変わらぬ、軽い口調にほっとする。


アルヴィスの家に着いて、ナナシは彼を背中から下ろす。
「少しは気分ようなった?」
「あ、ああ……その、ありがとう」
小声でお礼を言う。
「どういたしまして!いつでもゆうてや、いつでも支えになったるから!」
「いや、何度も、というのは遠慮しておきたい…」
ナナシの事だ、ちょっとした事でも過剰に心配しそうである。
「遠慮せんでもええのに」
「本当に、自分でどうしようも出来ない時があったら…その時は、言葉に甘えるかもしれない」
譲歩してそう言うと、ナナシの表情が明るくなる。
「まかしとき!」


おんぶされている時、思っていた。
ナナシの背中が広い事や、夏の暑さよりも余計に熱いと感じる自分がいる事。
いつも、彼のほうからアルヴィスの背に飛びついて来る事はあっても、自分から触れた事はなかった。
密着しているのに対して、鼓動は高鳴っていた。
最近になって特に意識しだした。
「俺も、変になったのか…?」
他に誰もいない部屋で、天井を仰いだ。



おわり

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